半地下備忘録

たつさんの日記的ななにか。

どこの陣営も一枚岩ではない人間ドラマ『下町ロケット』

ドラマが人気になっているという話を聞いて、原作に使われるならきっと面白いだろうと買ってみた。なおドラマは一話も見ていません。

プロローグで主人公の佃が研究者としてロケット開発に失敗したところから、本編では家業を継いで、中小企業の社長となるところから話は始まります。佃製作所と大企業とのいざこざにはハラハラさせられますが、ピンチを乗り越えていく様は爽快。単純に大企業=悪ではなく、佃製作所、ナカシマ工業、帝国重工と描かれているどこの企業も一枚岩ではない人間ドラマがあるところも面白くて引き込まれました。

現実にはこんなにテンポよく困難を乗り越えられることはないだろうけど、爽快感と面白さで一気に読み終えてしまう作品。著者は池井戸潤。この人は半沢直樹シリーズなどでもそうだったように憎たらしい人間がめちゃくちゃ憎たらしく描かれているところがとても良い。そして苦労させられながらも、最終的には一泡吹かせるところが読み終えたときのすっきりした感じに繋がっている。

下町ロケット (小学館文庫)

下町ロケット (小学館文庫)