半地下備忘録

たつさんの日記的ななにか。

『桝太一が聞く科学の伝え方』

「伝え方」についてのテクニックなどを紹介する本ではなく、元日本テレビアナウンサーの桝太一さんと、iPS細胞でノーベル賞を受賞した山中伸弥博士ら科学者がサイエンスコミュニケーションについての対談をまとめたもの。

その中で印象的だったのは国立科学博物館の篠田謙一館長、小川義和調整役との対談。

展示を考えるとき、誰に見てもらうか設定する。それによってどんなテーマにするか、内容やレベルが決まってくること。常に誰が読むのかを考えながら作っている。(でも想定通りになることはないらしい)

展示の説明文章は研究者が書いて、職員が指摘、修正する。文章が難しいときは、直すよりも「これとは別に子ども向けの文章を作ってください」と別パターンをもらう。すると、来館者はみんな子ども向けの文章しか読まないらしい。博物館に来るような層でも、こうなっちゃうのおもしろい。自分の専門分野でもない限りそうなっちゃうよね。

あと、恐竜ファンの小学生は中学生くらいになると恐竜ファンを卒業してしまう。新たな小学生がどんどん入ってくる結果、恐竜の研究者は訓練されていて、話すのが上手なんだとか。


ほかの研究者との対談では、基礎研究は大事とか、子どもは科学が好きだけど受験で嫌いになっちゃうよねとか。複数の人が言っているので、科学者たちにとっての大きな課題なんだろう。