『怒り』を知ったのは『君の名は』を見に行ったときの予告で、おもしろそうだなーと思ってた。映画の予告でおもしろそうと思ったにもかかわらず原作の吉田 修一『怒り』を手に取るのは映画より活字派だからとしか言いようがない…。
あらすじ
夏の暑い日に八王子の郊外に暮らす若い夫婦が自宅で惨殺され、目撃情報から精緻なモンタージュ写真が作られる。窓は締め切られ蒸し風呂状態の現場には「怒」のち文字が残さていた。
犯人は山神一也、27歳。すぐに全国に指名手配されるも手がかりがないまま1年が過ぎた夏、千葉、東京、沖縄それぞれに身元不詳の男が現れる。男たちはそれぞれの状況に受け入れられていくが、周りの人々は警察が新たに公開した手配写真に似ているのではないかと疑問を持つようになる。
読み終わって
3つの独立したストーリーが並行に展開されていくので、序盤はなかなかのめり込めなかったけど、もしかしてこの男が犯人なのではと思わせる部分が散りばめられており徐々に引き込まれはじめる。一番大切に思う人が犯人なのではないか、信じたいのに、疑う気持ちも隠すことができないという葛藤。
最終的に犯人はこの男だったのか!とは思ったけど、3つの地域でストーリーが展開していたせいで、犯人の描写が弱く感じた。世の中理由もなく無差別殺人や猟奇的殺人を起こす人もいるので、犯人の怒りや理不尽な犯行などが明かされないのは妥当と評価するひともいるみたいだけど、個人的には小説は娯楽と思ってるのでサスペンスドラマみたいにある程度分かりやすい動機やその描写が欲しかったなー。
- 作者: 吉田修一
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2016/01/21
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (17件) を見る
- 作者: 吉田修一
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2016/01/21
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (15件) を見る