半地下備忘録

たつさんの日記的ななにか。

『コンピューターで「脳」がつくれるか』

近年流行りの人工知能についての本。人工知能に強い興味があったわけじゃないんだけど、著者のブログがバズって、本を出したのは知っていて読みたいと思いつつ随分出遅れてしまった…。

人工知能についての本といっても、数式やプログラムが出てこないので、入門書を読む前に読む本といえるほど平易な言葉で書かれている。

コンピューターで「脳」がつくれるか

コンピューターで「脳」がつくれるか

本書は、「流行している人工知能」と「人間のような人工知能」がまったう別のものである!(そして後者の研究はとてもマイナーである)ということを伝えるのが目的です。これさえわかっていただければ、本書の目的は90%くらい達成したといっても言い過ぎではありません。

この本を読んで、はじめにに書かれている目標については達成されたかなー。

  • 流行している人工知能(特化型AI):チェス、画像認識など
  • 人間のような人工知能(汎用AI):ドラえもん、ターミネーターなど

タイトルにもなっているコンピューターで「脳」がつくれるかについては、可能性はあるけれど、現在の延長ではない。そもそも現在の特化型AIはドラえもんみたいな汎用AIを作るという目的のものではないというのが分かりやすかった。

目次

1章 人工知能は人工知能ではない?
2章 生きるための知能、道具としての知能
3章 どこまで脳のしくみを解明できるか
4章 人間を追い越したコンピューター
5章 汎用人工知能をつくるには
6章 変わる人間の未来


1章、2章を読めばどう違うかは十分理解できる(できた気がする)。確かに将棋の強い特化型AIができても、趣味でチェスをやるようにはならないだろうし、特化型AIを改良していっても汎用AIにはならないよねと*1

3章は人間の「脳」に関する話で、読み進めるのが若干苦痛で斜め読みに。興味があるかどうかの問題だとは思うけど、読み飛ばす人も多そうかも。

4章はアルゴリズムについて。教師あり学習、教師なし学習、教科学習とディープラーニングについてさらりと。ただしこの章も特に数式とかで解説されているわけではないので、アルゴリズムについて知りたい人はほかの入門書などを探す必要がある。自分みたいなちょっと言葉気になるけど、実装するほどの熱意はないみたいな人間にはぴったり。

5章では3章4章のおさらいをしつつ、脳の各部位とアルゴリズムは似ているので、これらを組み合わせれば汎用AIにつ近づけるかもしれないとしている。

  • 大脳新皮質:教師なし学習
  • 大脳基底核:強化学習
  • 小脳:教師あり学習

最後にもし汎用AIが実現できたら――という話。

著者のブログにはこの本のQ&Aもある*2
コンピューターで「脳」がつくれるか? FAQ編 - Sideswipe

読み終えて

汎用AIが実現されて便利になるのであれば多少の問題点があっても利用されるのは間違いないだろうし、さっさと労働を奪って世界が効率化されたり、ぼくが働かなくてもいい世界になってほしい。


それよりも人工知能 Advent Calendar 2015 - Qiitaを書く前に、出版が決まっていて、そのたたき台みたいなものかな……と思ってたら、そうじゃなくて、書いてから本にすることが決まったらしい。1人でこんなの書いてみようと思うなんて頭おかしい(褒めてる)。

人口知能に興味はあるけど、アドベントカレンダー全部読むのが面倒って人は人工知能は Deep Learning によって成されるのか? - Sideswipeだけでも読んでみるのがいいと思うます。

*1:特化型AIの改良はそれはそれでとても意味がある。

*2:記事公開日が本の発行日より前!