半地下備忘録

たつさんの日記的ななにか。

『つぼやきのテリーヌ』読んだ感想など

以前読んだ『つぶやきのクリーム』と同じく、森博嗣のつぶやきを100個集めて、それを自ら解説しているようなエッセイ集の2冊目。前作と同じく、いつもの森博嗣って感じで、2冊目ということもあって目新しさは半減しているように感じた。

あと、前作に比べて、いかにも森博嗣らしい! と感じるような直球の正論っぽいものは減って、普通のつぶやきらしいものが増えたかな。自分が慣れたのか、森博嗣が丸くなったのかは分からないけど。

見開きで1テーマなので通勤中にぼんやり読むのにはいいけど、森博嗣が好きって人以外には勧めないかな。


前ほど面白くなかったとはいえ、忘れないようにせねばなぁと思うようなこともあった。

嫌いなものに理由があって、そういう理由がなければ好きか、というと少し違う。ずれている。嫌いなものはない方が良いけれど、その状態が、すぐに「好き」とはいえない。
大きな不満を抱えている人は、その不満さえ解消されれば、そこに望んでいる楽しさがあると勘違いをする。だが、不満が解消されても、それは普通の状態にすぎない。そこからどの方向へ行けば幸せがあるのかは、また別の問題なのだ。

悲しみと面白さも、寂しさと楽しさも、同じ軸にはない。正反対の事象、あるいは感情ではない。あるときは、悲しさが面白さになることもあり、寂しさが楽しみになることもある。軸が違うので、両者を相殺することは完全にはできないけれど、これを処理するのも、やはり想像力というか、思考による納得、つまり自分を説得する行為だろう。
怒りと愛情も、当然ながら同じ軸にはない。怒るの反対は、単に怒らない、つまり平常心である。

こういうのいろんな著者がいろんな本で同じことをいってるんだけど、結構忘れがちなので忘れないようにしたい。


つぼやきのテリーヌ The cream of the notes 2 (講談社文庫)

つぼやきのテリーヌ The cream of the notes 2 (講談社文庫)


前作の感想はこちら。
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