半地下備忘録

たつさんの日記的ななにか。

街のパン屋をデータが救う 『問題解決の最初の一歩 データ分析の教室』

売上が落ちてきているパン屋がデータ分析によって再生していく――。Tips的なコーナー以外はほぼ全編、店主の熊野と経営コンサルタントの安堂による対話形式で進む。

書籍タイトルにあるように「最初の一歩」というだけあって、データ分析のエッセンスは1章で語られるくらいあっさりめ。とにかく目的が大事、データ分析は意思決定を支援するツール。2章以降でストーリーに沿って副題にある、知識ゼロからのエクセル「ピボットテーブル」が紹介されていく。

エクセルの操作はかなり細かく画面キャプチャ付きで解説されているので、苦手な人でも戸惑うシーンはなさそう。まるで手順書。また、サンプルデータがダウンロードできるので、手を動かしながら学習することもできる。クロス集計、期間を区切った集計などは業界業種問わず使えそう。やり方を丸暗記できなくても、この本に書いてあったことさえ覚えておけば良い。


見どころ(?)はエクセルのフィルタを使うシーンでのやりとり。

安堂: ここで先ほどの「▼」マークを見ると、形が変わっているのがわかりますか?

熊野: ヘラのマークですか?
安堂: 惜しい! これは調理器具のファンネル(漏斗)のシンボルです。情報を絞り込んで表示していますよ、という意味です。
熊野: ヘラと言った3秒前の自分を埋めたい(笑)。

著者は日ごろから「埋めたい」って言ってるにちがいない。


電車で読んでいたので、Excelの操作は試していないけど、本書は取っつきやすさ重視、『世界一やさしい問題解決の授業―自分で考え、行動する力が身につく』にExcelの操作を加えた感じでわかりやすい。あと、食いしん坊のコンサルタントがかわいい。

街のパン屋の再生はスムーズに進んだ一方で、現実は、生データが集まっていない、集めようとするとお金がかかる、管理職に目的意識がない、上司や関連部署との折衝など、挙げればキリがないほど苦労するポイントがある。失敗談が好きなので、コラム欄とかあとがきでそういった話も知りたかったなーと。